架空言語

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架空言語(かくうげんご)は、実在しない架空の土地で用いられている言語として創作された人工言語芸術言語である。

小説・映画・ゲーム・架空地図等の作品中の世界の言語として創作されたものが多い。

概要

架空言語とは「実在しない架空の場所で話されている言語」のことである。

主にファンタジー小説などで「架空の世界」を描く場合、その世界内において当たり前に存在するが、現実世界では当たり前ではない事象を何らかの形で説明する必要がある。それを「言語」という側面から説明するのが架空言語である。

多くの作品では、「架空世界の住人は彼らの固有の言語で会話している」が、それでは内容が理解できないので、我々の理解できる言語に翻訳して表現することでこの問題を解決している。しかし、中にはこれに満足せず、彼らの固有の言語自体も創作する作者も存在する。あるいは、架空言語を創ること自体を目的とした創作活動を行う作者も少数ながら存在する。

一口に架空言語といっても様々なものがある。作り込みの度合いに応じて大きく分けて2つに分類することができる。

1つ目は、「アポステリオリ言語」と呼ばれるものであり、

  • 文字のみを作り出して実在の言語(日本語)の音を置き換えたもの
  • 実在の言語の音や文字を一定の規則で変換したもの
  • 実在の言語の音韻・単語・文法・文字・統語論などの一部に変更を加えたもの

2つ目は、「アプリオリ言語」と呼ばれるものであり、

  • ごく一部の単語を実在の言語から借用するものの、多くの単語がゼロから創られているもの
  • 音韻・単語・文法・文字・統語論などを全てゼロから創り上げたもの
  • 音韻・単語・文法・文字・統語論などに加えて、言語が話されるその背景となる世界観をも含め全てゼロから創り上げたもの

でたらめな音や記号の羅列によって創られたものや、「異世界であるが、音韻・単語・文法・文字・統語論などが日本語と全く同じであるような言語が話されている」といったものも、定義上は架空言語であると見なせる。

当然ながらアプリオリ言語の方が作り込みが大きく、アポステリオリ言語に比べて複雑で大がかりであり、創作期間も長くなる傾向がある。

作り込みを行うことで世界に奥行きが出て、リアリティを増すことができる一方で、作り込みが大きくなればなるほど架空言語がその世界の固有の性質を強く帯びるようになるため、商用作品には使われにくくなる(商精反比)。

なお、架空の言語であっても、言語が言語として機能するための基準を満たしていれば「他人に意志を伝えるための道具」となり得るので、一部の人にだけ伝えたい情報を暗号化する手段とすることができる。アプリオリ言語であれば、音韻・単語・文法・文字・統語論などが全て一から創られているため、辞書や文法書が流出しない限り、絶対に解読されることのない完全たる暗号となり得る[1]

主な架空言語

括弧内はその言語が登場する作品の名称である。いずれも50音順に記す。

アポステリオリ言語

アポステリオリ言語は無数に存在するため、ある程度の作り込みがあるもののみを挙げる。

実在の言語の音や文字を一定の規則で変換したもの

  • グロンギ語

実在の言語の音韻・単語・文法・文字・統語論などの一部に変更を加えたもの

アプリオリ言語

分類不能な言語(でたらめな音や記号の羅列によって創られたもの)

注釈

  1. もっとも、未来の自分に対しても暗号としての効能を発揮するため、重要な記録をアプリオリ言語で残すことに対しては懐疑的な意見もある。

関連項目

外部リンク