アプリオリ (架空世界創作)

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架空世界創作において、アプリオリとは、既存のものから流用しないことである。先験性(せんけんせい)ともいう。対義語は、アポステリオリまたは後験性(こうけんせい)。

架空言語の場合は、アプリオリ言語または先験語(せんけんご)という。

なお、架空世界創作界隈で「アプリオリ」といった場合、哲学などの分野における「アプリオリ」とは異なる意味で使われていることに留意する必要がある。

概要

簡単に言えば「完全にオリジナル」という意味である。

ゲームやアニメなどの商用作品に登場する「架空の世界」では、架空の言語が話されているという設定が作られる場合がしばしばある。しかし、多くの場合は、日本語や英語などの既存言語を流用(一定の規則に従って変換するなど)したものであったり、無意味な記号の羅列であったりする場合が多い。

しかし、真面目に考えれば、日本語や英語などが存在しない完全なる架空世界において、日本語や英語を変換した言語が通じることは、いささかご都合主義的である。多くの人はそのご都合主義を看過しているのだが、言語学に関する知識を持った一部の人々は、日本語や英語などの既存言語から流用することなくゼロから語彙を創り上げ、発音・文法・統語論・文字、そしてその背景となる世界観までもを精緻に創り上げることを思いついたのである。

アプリオリな架空言語の一覧については、架空言語#アプリオリ言語を参照。

アプリオリは架空言語だけでなく架空文化に対しても適用できる。文化についても、既存文化を流用したものであればアポステリオリ、流用せずゼロから作り上げたものをアプリオリという。

架空地図の「完全架空性」との違い

架空言語・架空文化がアプリオリであること」と「架空地図完全架空であること」は異なる。

前者は、既存の言語・文化を参照しないことである。すなわち、既存物から流用した物が存在するなら、アプリオリではない

後者は、世界観全体が架空であり、架空世界と現実世界に直接の接点がないことである。言い換えれば、その架空物が存在すると仮定すると現実世界が変化するかどうかを意味している。よって、架空世界内に「現実の地形を真似た地形」が存在しても、完全架空であることに変わりはない。しかし、地形を真似ているためアプリオリではない。

また、架空世界の地形が全く現実と異なるものであったとしても、文化が日本と同一と設定されていれば、地形はアプリオリだが文化はアプリオリではない。例えば、「遥か遠くにある架空惑星に、日本に似た国があり、日本語に似た言語が話されている」という世界観は、完全架空ではあるがアプリオリではない。

無論、アプリオリや完全架空といった分類は、作品を比較してどの部分が似ていてどの部分が違うのかを理解するための「分類」に過ぎず、優劣を定めるものではないことに留意する必要がある。

関連項目